事業用のお金を生活費として使う場合、その引き出し方は個人事業主と法人(社長)で全く異なります。この違いを理解しないと、税務上のトラブルにつながる可能性もあります。それぞれの正しいお金の扱い方を確認しましょう。
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個人事業主の場合:「事業主貸」で自由に引き出せる
個人事業主の場合、事業用口座のお金も個人のお金も、法律上の区別はありません。そのため、生活費が必要になったらいつでも自由に事業用口座から引き出すことができます。このとき、帳簿上は「事業主貸」という勘定科目で処理します。これは経費ではなく、あくまで「事業主個人へのお金の移動」です。
法人(社長)の場合:必ず「役員報酬」として受け取る
法人の場合、会社のお金と社長個人のお金は、法律上、完全に別人格として区別されます。社長が会社の口座から勝手にお金を引き出すことは「会社から社長への貸付金(役員貸付金)」となり、非常に問題です。生活費は、毎月決められた日に、決められた金額を「役員報酬(給与)」として受け取らなければなりません。
なぜ社長は自由に引き出せないのか?
役員報酬は会社の経費(損金)になりますが、自由に金額やタイミングを変えると、利益操作につながるため税務上厳しく制限されています。また、会社から社長への貸付金には、会社は利息を受け取る必要があり、税務調査でも厳しくチェックされるポイントです。
まとめ
このルールの違いは、個人事業主と法人の最も本質的な違いの一つです。個人事業主は自由度が高いですが、公私混同しがちです。法人はルールが厳格な分、会社と個人の資産が明確に分離され、対外的な信用が高まります。それぞれの立場で、正しいお金の管理を徹底しましょう。