「今年は赤字だから、法人税はゼロのはず」そう考えていませんか?実は、会計上は赤字でも、税金の計算上は黒字となり、法人税が発生するケースがあります。その一方で、過去の赤字を使って将来の黒字と相殺し、税金を減らせる「繰越欠損金」という制度も存在します。
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会計上の利益と税務上の所得の違い
会社が計算する「利益」と、税金計算の基礎とする「所得」は、必ずしも一致しません。例えば、事前の届出がされていない役員賞与や一部の交際費などは、会計上は費用ですが、税務上は経費(損金)として認められないため、その分だけ「所得」が大きくなり、赤字でも税金が発生することがあるのです。
過去の赤字を未来に活かす「繰越欠損金」
青色申告をしている法人が赤字(欠損金)を出した場合、その赤字を翌年度以降10年間(※)にわたって繰り越し、将来の黒字(所得)と相殺することができます。これが「繰越欠損金の控除」です。
(※開始事業年度により期間は異なります)
具体例
例えば、前期に1,000万円の赤字を出し、今期に1,500万円の黒字が出たとします。この制度を使えば、今期の黒字1,500万円から前期の赤字1,000万円を差し引き、課税対象となる所得を500万円に圧縮できます。これにより、法人税の負担を大幅に軽減できるのです。
まとめ
繰越欠損金は、業績に波がある企業にとって非常に重要な制度です。この制度を最大限活用するためにも、赤字の年度であっても必ず確定申告(青色申告)を行うことが不可欠です。過去の努力を未来の節税につなげましょう。